News Letter No.45 - May 2006 -
 
 学会印象記 
第13回医療における心理臨床ワークショップ
第8分科会「サイコオンコロジーの基本的知識とその考え方」を開催して

北里大学大学院医療系研究科・医療心理学
岩満優美


 2006年1月8日(日)の厳しい寒さのなか、大正大学で第13回医療における心理臨床ワークショップが開催されました。これは日本臨床心理士会が主催して年に1回行う医療領域に携わる心理士のための研修会です。今回、このワークショップのなかで目白大学の小池眞規子先生と一緒に「サイコオンコロジーの基本的知識とその考え方」の分科会を企画・開催し、司会を担当いたしましたので、ご報告いたします。
 がん患者や家族の不安や抑うつといった心理的ストレスに対する援助の重要性が日本の医療現場でも認識され始め、それに伴いがん患者や家族の心理的援助にあたる心理士も増えてきています。しかし、残念ながらこれまで心理士がサイコオンコロジーの知識を体系的に習得する機会は少なく、また、他の医療スタッフに相談することもできずに1人でその対応に悩む心理士も多いことと思います。そこで、今回は講師に広島大学病院・医系総合診療科の佐伯俊成先生をお招きし、前半は「がん医学の基礎知識とサイコオンコロジーに関する概略」について、そして後半はがん領域で働く心理士にとって必要と思われる「精神症状の原因に対する考え方」「認知症とせん妄の鑑別」などについて3時間以上にもわたってご講義いただきました。
 この分科会の参加者数は約110名にもなり、事前に用意した配布資料がすべてなくなり、この領域への関心の高さがうかがわれました。参加者のサイコオンコロジーに対する現在のかかわり方は、がん患者への心理的援助に関心はあるもののその機会のない方から、現在がん患者の心理的援助を中心に仕事をしている方までとそれぞれさまざまでした。このようなさまざまな経験と知識をもった参加者でしたが、質疑応答も活発に行われ、がん患者や家族に対する「がん情報開示のあり方」とそれに伴う心理的反応への援助の仕方、がん患者のうつ病と自殺との関係、認知症による幻覚・妄想への対応の仕方などに参加者の関心が集まりました。佐伯先生もそれらの質問に対してひとつひとつ具体的および実際的に説明してくださいました。会の終了後、参加者からは、「がん医学の基礎知識についてわかりやすく説明をしていただき、とてもよかった」「サイコオンコロジーについてまとめて聞くことはこれまでなかったので、大変よかった」などの感想をいただきました。もちろん、サイコオンコロジーへの発展に向けて、このような会が今回で終わることなく今後もひきつづき開催することができればと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。