乳がん患者(Stage I〜 IV期)の大うつ病に対するパロキセチン
およびデシプラミンの二重盲検プラセボ対照多施設並行研究 |
名古屋市立大学大学院医学研究科
精神・認知・行動医学
名古屋市立大学こころの医療センター
佐川竜一
A Double-blind, Multicenter, Parallel-Group Study of Paroxetine,
Desipramine, or Placebo in Breast Cancer Patients ( stages I, II,
III, and IV) With Major Depression
Dominique L. Musselman, et al.
J Clin Psychiatry 67:2, 288-296, 2006
【目的】
この研究では、各ステージ(・〜・期)の乳がんに罹患している女性に合併するうつ病性障害の抗うつ薬治療として、パロキセチンおよびデシプラミンの有効性と安全性を、プラセボと比較して検討した。
【方法】
研究は二重盲検プラセボ比較試験として行われた。対象は、乳がんに罹患している女性で、DSM-・-Rで「大うつ病」もしくは「適応障害:抑うつ気分を伴うもの」の診断基準を満たす外来患者。年齢は18〜75歳であり、少なくとも一ヶ月の大うつ病エピソードか、少なくとも二ヶ月の適応障害:抑うつ気分を伴うものの基準を満たし、21項目Hamilton
Rating Scale for Depression(HAM-D)の前17項目で14点以上の症状があり、最終のがん治療から5年以内であることを条件とした。35人が研究に参加され、それぞれパロキセチン群(N=13)、デシプラミン群(N=11)、プラセボ群(N=11)に無作為に割り付けられ、6週間の治療が行われた。治療の効果判定は第一に21項目HAM-Dスコアと、14項目Hamilton
Rating Scale for Anxiety(HAM-A)のベースラインからの変化を指標とし、第二にはClinical Global
Impressions-Severity of Illness scale(CGI-S)のベースラインからの変化を指標とした。
【結果】
6週間治療後のHAM-DおよびCGI-Sにおける合計点は、パロキセチン群、デシプラミン群ともプラセボ群と比較して有意差はなかった。特異的にプラセボ群で高度改善(HAM-Dスコアで50%以上の改善)が認められた(55%[N=6])。副作用発生による中断は、実薬群(デシプラミン群9%[N=1]、パロキセチン群15%[N=2])とプラセボ群(18%[N=2])において差がなかった。HAM-DおよびHAM-Aにおける各症状の改善においても、各群において差はなかった。
【結論】
先行研究では、女性乳がん患者に合併する単極性うつ病の抗うつ薬の効果として、ミアンセリンの有効性と忍容性を示している。この研究では対象患者数が少なかったことが、6週間の治療においてプラセボと差が認められなかった最も大きな原因になっていると思われる。
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