化学療法後間もない青年〜
中年期がん患者における、呼吸・循環適応度(CRF)と健康関連QOL(HRQOL)による運動の効果 |
名古屋市立大学看護学部
石黒千映子
Effectiveness of Physical Activity on Cardiorespiratory Fitness and
Health-Related Quality of Life in Young and Middle-Aged Cancer Patients
Shortly After Chemotherapy. Thorsen,L. et al. J Clin Oncol, 23(10),
2005, 2378-2388.
【背景】
がんの診断や治療は心身の健康状態を低下させ、治療中および治療後のHQOLに影響を与えるだろう。規則的な運動は、身体的機能や精神的苦痛、倦怠感のようなHQOLパラメータを改善させる。しかし、綿密に構造化されたトレーニングプログラムは、潜在的に愉しくないプログラムとなり、何人かの患者では意欲の減退の一因となっているかもしれないし、大人数のグループに対する臨床的な実行は難しいかもしれない。
【目的】
化学療法後間もない青年〜中年期がん患者の、指導された在宅での柔軟なトレーニングプログラムの効果を、CRF、精神的苦痛、HRQOLで評価した。
【対象と方法】
対象は、オスロの大学病院(2ヶ所)から選定された、18〜50歳のリンパ腫、乳がん、婦人科系がん、精巣がんで化学療法を受けた患者である。性別と診断で介入群とコントロール群にランダムに分け、治療終了約1ヵ月後(基準値:T0)とその14週間後(追跡調査:T1)に評価した。介入群は、簡単な運動生理学理論やトレーニングプログラム計画の説明を受けた後、2回/週以上、30分/回以上の運動を約14週間続けた。運動の種類は患者の希望と機会をもとに話し合いで決められ、運動強度は主観的な疲労感で調整された(Borg
scaleの13〜15点を保つように)。2週間ごとにexercise instructorと連絡を取り、必要に応じて運動内容が調整された。コントロール群は、個別的なトレーニングプログラムは受けなかった。primary
outcomeは、T0とT1の間のCRFの変化(最大酸素摂取量:VO2max)で、Secondary outcomeは、HADS、HQOLによって評価した精神的苦痛とEORTC-QLQによる評価である。両群ともにT1の質問票で運動の遵守度が評価され、運動の種類、頻度(1週間での)、継続期間について尋ねられた。T0からT1の変化を分析するためにtwo-way
ANCOVAを用いた。
【結果】
適格者220人のうち、計画を完了したのは111人であった(介入群59人、コントロール群52人)。VO2maxは、介入群が6.4ml/kg−1/min−1、コントロール群が3.1ml/kg−1/min−1上昇した(p<.01)。倦怠感(EORTC-QLQ)は、コントロール群が17.0点減少したのに対し、介入群は5.8点だけ減少した(p<.01)。T0からT1の精神的苦痛やEORTC-QLQの情緒機能の改善は、両群の間で有意差が生じなかったが、コントロール群のほうが介入群よりも改善する傾向がみられた。ANCOVA分析の結果、T1でのCRFの平均が両群の間で有意差を示し、全体的には年齢が身体的な適応度の向上を示した。HADSやEORTC-QLQの身体および情緒機能、QOLでは両群間に有意差を認めなかったが、介入群はコントロール群よりも倦怠感を多く報告した。
【結論】
指導された、在宅での、柔軟なトレーニングプログラムは、化学療法後間もない青年〜中年期がん患者のCRFへの有用性を認めた。しかし、精神的苦痛、HQOLへの効果は承認されなかった。実際、倦怠感はコントロール群の方がよい結果であった。この結果には、患者の心身の状態、介入の種類とタイミング、アセスメントの方法が関係しているかもしれない。今後、アセスメント方法を評価する研究とともに、化学療法後の運動の介入の最善の種類とタイミングに関する研究が必要である。
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