|
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
心療・緩和医療学分野
松田彩子
Assessment of Psychological Responses in Patients About to Receive
Radiotherapy
Kumiko Karasawa,
Naoshi Horikawa, Eri Kawase, et al.
Radiation Medicine,Vol.23 No.7:478-484,2005
【目的】
がんの診断と治療は、患者に多くの精神的苦痛を与える。なかでも、放射線治療は精神的苦痛との関連が強いと考えられている。私たちは、放射線治療を受けるがん患者の精神状態、および、これらと結びつく要因について評価した。
【方法】
放射線治療を受ける入院患者(94名、平均年齢62歳)を対象とした。年齢、性別、PS、診断名、現在の病態は、カルテから情報を得た。放射線治療前に、精神科医が全ての患者と面接した。教育レベル、婚姻状況、雇用状況、精神疾患の既往、家族に関する情報、ソーシャルサポートに関する情報は、面接時に本人から聴取して得た。患者の精神状態をDSM-・を用いて評価し、また特に抑うつと不安の症状はHAM-D、HAM-Aを使用して評価した。面接後、患者にはPOMSとMACを実施した。
【結果】
データは94名の患者から集められた。このうち、精神疾患の発症は20%の患者にみられた。また、抑うつのスコアは全体的にPSの悪い患者においてかなり高かった。一方、不安のスコアは放射線治療と関係しており、放射線にさらされること(26.6%)、その急性の副作用(60.6%)、遅発性の副作用(9.2%)、入院設備や治療室(16.5%)、孤立(11.9%)、過剰照射(22.0%)、放射線治療が不治の腫瘍であることを示唆していること(40.4%)、治療の結果(41.3%)によって影響を受けることが分かった。そのなかでも、放射線治療によってよく起こる不安は急性の副作用によるもので、その予測因子は緩和的な治療(p=0.004)、一人暮らし(p=0.033)であった。
【結論】
がん患者の4/5以上ががんについて不安を持ち、3/4の患者が治療についての不安をもっている。予後が不明確であることや治療がなじみでないことは不安の原因になると考えられる。がんの恐怖は、将来、患者にとって何が有効かについての情報が不足しているためにますます大きくなる。痛みにかかわる不安は、患者の約半数で示され、約1/3が身体症状の恐怖を示す。患者の精神状態、特に、抑うつ、不安は、放射線治療において無視することはできない。予測因子とともに、注意深い配慮が患者に払われるべきである。なかでも、PSの悪い患者、家族のサポートのない患者には多くの注意を払わなければならない。
|