News Letter No.44 - Feb 2006 -
 
 学会印象記 
緩和ケア領域における心理社会的サポートに携わるコメディカル・スタッフ対象
『緩和ケアとこころのケア:第2回多職種ワークショップ』の開催報告

静岡がんセンター緩和医療科 心理療法士
栗原幸江


 緩和ケア領域で心理社会的サポートに携わるコメディカル・スタッフを対象にした現任教育とネットワークの機会を――との思いで企画・開催した多職種ワークショップは、今回日本ホスピス・緩和ケア研究財団からのサポートを頂き、無事第2回を迎えることができた。
 今回は「悲嘆・グリーフ」を主テーマとし、第1回ワークショップ同様に講義、演習、グループワークを組み込んだ。開催日である11月27日には他にもいくつか学会・研究会などが開催されていたほか、臨床心理士試験の2次面接も重なってしまったが、それでも北は北海道から南は九州までの各地から46名のMSW、臨床心理士、音楽療法士が集まった。
 年に1回の開催というと、どうしてもあれもこれもと欲張ってしまう。今回も「頭を使って、こころでも感じて、そして感じ考えたことを共有する場」にしたいという思いで主催者チームは内容を検討しスケジュールを組んだ。まず朝一番に国立がんセンター中央病院精神科チーフレジデントの岡村優子先生に「早わかり精神腫瘍学」の講義をしていただき、その後栗原が今回のテーマの「悲嘆・グリーフ」についての駆け足講義を行った。その後を受けて共同開催者である目白大学の小池眞規子先生に「自分が経験してきた悲嘆を振り返る」演習をお願いした。臨床家として押さえておきたい「悲嘆・グリーフ」というテーマの枠組みを共有したところで、それを少し自分の経験に当てはめてみるという機会を作ったわけだが、参加者が「頭を通して」知見を得るだけでなく、「自分のこころと向き合う」作業を行い、そしてそれを共有できる「安全な環境」で「横のつながりを再確認する」ことを意図した。
 午後は「悲嘆経験が積み重なる私たち自身を癒すグリーフワーク」として、北海道医療大学の近藤里美先生による音楽療法の体験ワークショップをしていただいた。その後6つのグループに分かれ、「ケアをする側の悲嘆とセルフケア」をテーマにグループワークを行った。「素の自分を出しても大丈夫」という雰囲気を一つ一つのグループが持てるように、グループ編成にも配慮した。グループ・ファシリテーターの先生方のご尽力のおかげで、暖かなグループワークが展開し、参加者からも「元気をもらった」「皆さんの意見が参考になった」などといった感想をいただいた。
 音楽療法の体験ワークショップでは、参加者数人が「呼吸のリズム」に合わせて音色の異なるトーンチャイム(とてもまろやかな音色の音叉)を鳴らす「合奏」をしたり、自分の声や息で「自然」を表現したりなど「自分の内なる音楽性」を再発見するという体験や、音楽により浮かぶイメージを描画で表現する中で過去の喪失を振り返るという体験がとても新鮮だった。
 「欲張りプログラム」であったことに対しては「余韻に浸りたいテーマが多すぎてパンクしそうな感じもあります」などといった声も聞かれ、第1回の時の反省も含め次の課題としたい。終了後のアンケートも「様々な職種の方との交流により、共通点にも気づきネットワークが広がった」など好評を得られ、継続希望の声を多くいただいた。患者さんへの暖かい姿勢がにじみ出る講義をしてくださった岡村先生、「素の自分を出せる雰囲気」を作ってくださった小池先生、開催に向け知恵と力を貸してくださった共同開催者の国立がんセンター中央病院の大松重宏先生と東札幌病院の田村里子先生、ファシリテーターとして加わってくださった広島文教女子大学の藤土圭三先生、山陽病院の長友隆一郎先生、静岡がんセンターの福地智巴先生、裏方で準備を手伝ってくださった国立がんセンター中央病院のスタッフの皆様にはこころから感謝したい。
 「緩和ケアにおける対人援助」についての実践的な継続教育カリキュラムの作成も現在進行中である。それを踏まえて第3回目も有意義なワークショップとなるよう企画を温めていきたい。
 ※コメディカル・スタッフとして緩和ケア領域で心理社会的サポートに携わり、ワークショップやメーリングリストへの参加をご希望の方は、栗原幸江(y.kurihara@scchr.jp)までご連絡ください。
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音楽療法体験:聞いた音楽を描画にする作業中
   
 
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自分自身のグリーフケアと癒しについてのグループワーク