News Letter No.44 - Feb 2006 -
 
 学会印象記 
【緩和ケアとこころのケア:第2回ワークショップ】に参加して

独立行政法人国立病院機構
南和歌山医療センター 心理療法士
厚坊浩史


 今回、私が参加した「緩和ケアとこころのケア:第2回ワークショップ」は“精神症状の緩和”、“グリーフ・ワーク”、“音楽療法“といった内容が盛り込まれたものであった。座学から得るもの、体験から得るもの、そして他院スタッフとの意見交換から得るもの、など“病棟業務を円滑に進める”ためのヒントやエッセンスが豊富だった。
 特に印象的だったのは音楽療法体験だった。いくつかの音楽を聴いてそれぞれが自らが抱くイメージを描画で表すという作業を行ったのだが、参加者は音楽が持つ世界にのめり込んだまま真剣な表情で作業を続け、作業が終わった緊張が解けたときに真剣な表情が一気に笑顔になるという豊かな感情の変化が起こっていた。
 “グリーフ・ケア”の演習やグループワークでは、参加者自身が抱える悲嘆体験などを話し合った。中には感情が溢れ出てしまう参加者もいたが、周囲のサポートが適切に行われていたように思う。心理職は他のスタッフのケアにも携わることが多いが、自分自身のケアの継続に務めること、つまりセルフケアを怠ってはならないと今回の経験を通じて痛感した。
 このように、実践さながらの緊張感や、同業者の集いという一体感、意見交換が自由にできるという解放感など、非常に様々な感覚を感じる研修だったように思う。そしてその結果、エネルギーが湧いてくるという感覚を持った。
 緩和ケアは臨床心理士の活躍分野の中でも他の領域(司法・福祉・教育など)に比べて、また他の医療領域(精神・小児など)に比べてまだまだ配置がなされていない分野であると言わざるをえない。全国的に見ても本当に人数が少ない状況の中で、ネットワークができたことは非常に有意義であった。現在も様々な方との交流が続いており、今後も交流が継続していくと思っている。
 緩和ケアにおける心理臨床は、まだまだ発展の中にあると感じている。研究においても、今後の発展のためにまだ基礎研究の積み重ねが必要であろう。今回のワークショップでも同じような悩みや問題を抱えたスタッフがたくさん集まっていた。そんな中で、“問題を乗り越えた経験”や“今、解決に向かおうとしている状況”などを共有し、一つの問題に対して「あ、うちもそうなんです」「うちはこうやって乗り越えたよ」という意見を交換し合う中で、自然と仲間意識が生まれた。孤軍奮闘で疲労している精神を解放できる、笑顔の絶えないゆるやかな雰囲気に包まれながら、非常に有意義な時間を過ごすことができたように思っている。
 当院の緩和ケア病棟は2005年4月28日に8床が開設し、私は心理療法士として病棟の立ち上げ時期から関わるという非常に貴重な体験ができた。そして、今後も研修に参加する毎に、 “レベルの高い課題”を持参できるよう日々の臨床に勤しみたい。この研修が今後もずっと続いていくことを心より願っている。