| 第52回Academy of Psychosomatic Medicineに参加して |
国立がんセンター東病院精神腫瘍科
清水 研
2005年11月16日〜20日にアメリカ合衆国ニューメキシコで行われた第52回Academy of Psychosomatic
Medicine に参加してまいりました。APMは毎年アメリカのリゾートで開催されるらしいのですが、今年は大自然の中の温泉保養地であるHyatt
Regency Tamaya Resort and Spaにて行われました。
初日16日にUpdate Courseがあり、Psychosomatic Medicine のほぼ全領域にわたって、せん妄-Trzepacz、精神腫瘍学-Breitbart、不安-Katon等々、各分野の第一人者の講義が行われた後、翌17日からいよいよ本格的に学会が始まりました。一般からの演題はポスターとペーパーセッションとしてそれぞれ約2時間程度の時間が充てられますが、それ以外のほとんどがシンポジウムとワークショップで、これらはあらかじめ決められたテーマに沿って、選ばれた専門家のプレゼンテーションとディスカッションが行われます。当然、討論の内容は凝集され、活発なフロアーからの発言が加わって、非常に中味の濃いものとなります。
特に興味を引いたのはRobert Robinsonらの精神疾患の予防のセッションで、さまざまな身体疾患に合併するうつ病をいかに予防するかという内容でした。特に脳梗塞後の過半数に生じるうつ病に関しては介入の効果が期待され、今後介入の有効性が実証されるのではという期待を抱かせるものでした。また、Jurgen
Unutzer、Wayne Katon らのDepression Collaborative Care Model のシンポジウムも、プライマリーケア領域のうつ病に積極的に介入することで、うつ病が良くなるのみならず、経済的にも効果を生むという彼らの有名な研究の結果に関する討論がされ、アメリカの臨床研究のハード、ソフト両面の充実ぶりを実感させるものでした。また、Wayne
Katon はPlenary Lectureにおいて、糖尿病に合併するうつ病に介入することで、うつ病のみならず糖尿病も改善するという仮説の元に行われた、PATHWAY
Study の結果も報告していました。結果は仮説を支持するものではなかったようですが、その壮大で緻密な研究に、精神疾患に介入することで身体疾患を改善しようという心身医学者の熱い思いが込められているのを感じ、感動を覚えました。
全体的にこじんまりした印象がしますが、本学会はアメリカのPsychsomatic Medicine の最先端の部分に触れることが出来るのが特徴で、一つ一つの発表のレベルは高く、はるばる遠い道程を訪れた甲斐がありました。東海大学の保坂先生のご厚意で、高名な研究者をたくさん紹介していただき、一緒に写真を撮らせていただいたことも忘れることのできない思い出です。機会があれば是非また参加したいと考えております。
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