News Letter No.44 - Feb 2006 -
 
 Current Opinion 
「サイコオンコロジーにおけるリエゾンナースの役割」

国立がんセンター中央病院
リエゾン精神専門看護師
梅澤志乃


 私は03年5月より国立がんセンター中央病院においてリエゾン精神看護師(以下リエゾンナース)として活動を始めました。リエゾン精神看護とは、精神看護のサブスペシャリティで、精神科以外の一般領域において精神看護の知識と技術を応用し心の問題に対応する看護領域です。コンサルテーション・リエゾン精神医学の発展に続く形で欧米から発展しました。日本においては80年代から看護系大学院で育成教育が始まり、96年からは日本看護協会で専門看護師として認定されるようになりました。専門看護師とは「ある特定の看護分野において修士以上の学位を持ち、卓越した看護実践能力を持つことが認められた者」と規定されています。05年12月現在で、精神看護専門看護師として認定されている者は29名です。ちなみに、がん専門病院に籍を置いているのは現在のところ私のみです。このようにサイコオンコロジーにおけるリエゾンナースの役割は、まだまだ未開拓状態です。
 現在私は、呼吸器や乳腺などの混合外来に籍を置きながらリエゾンナースとして活動しています。リエゾンナースとしての活動日は週に3.5日で、病棟や外来を横断的に動きながら、がん患者・家族とそのケアを行う看護師に対するサポートを中心に行っています。
 患者・家族のケースに対しては、主に精神科チームと活動をしています。精神科依頼のケースに対し、精神科医や心理療法士と連携をとりながら、精神状態の評価や面接を実施したり、病棟カンファレンスを通じ具体的な関わり方等について病棟スタッフと話しあうなどをしています。また、直接リエゾンナースに相談がくるケースもあり、精神状態の評価や面接を実施すると同時に、必要時精神科につなげる橋渡し的役割をとることもあります。さらに、空いている時間で病棟ラウンドを行いスタッフと情報交換をしながら、専門的介入の必要な精神症状を抱えた患者の早期発見や、病棟内にある潜在的な問題の発見にも努めています。
 一方、がん罹患をきっかけに生じた不安や怒りを攻撃や拒否といった形で看護師に向ける患者や家族も時に存在します。このような場合の看護師に対する支援として、病棟カンファレンスへの参加を通じて看護師へのサポートに努めています。また、個別カウンセリングを行ったり、専門的な治療が必要と判断した場合は精神科治療への橋渡しも行っています。
 以上より、リエゾンナースの活動には「予防・早期発見」「調整」「看護師へのサポート」などに特徴があるといえます。また、看護師という立場上、さまざまな部署を横断的に動きやすいというメリットもあります。
 今後の課題として、サイコオンコロジーにおけるリエゾンナースの役割を確立すると同時に、サイコオンコロジーを専門とするリエゾンナースの育成も重要と考えます。
 がん患者・家族およびそのケアを行う看護師を始めとする医療スタッフのサポート役として、少しでも役に立てるよう日々研鑽を積んでいきたいと思います。