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都立駒込病院 神経科
赤穂理絵
造血幹細胞移植をした後、原病再発あるいは生着不全のために2回目の造血幹細胞移植がおこなわれることがある。一度移植が不成功に終わった後も、再度の移植ができるようになったという医学の進歩は喜ぶべきものだが、2回目の移植時の患者さんの心理状態は、最初の移植時と比べかなりきつい状況である。
造血幹細胞移植が血液系悪性疾患の治療法として定着してきた現在、「白血病になっても骨髄移植をすれば治るのでは・・・」という認識が一般に広がってきた。実際にはそう簡単にはいかないことも多いが、とにかく1回目の移植時、患者さんは「移植を乗り越えられれば病気が治る」という希望を持つことがさほど難しくはない。患者さんによっては、移植は“待ちに待った希望の治療”ですらある。ところが、心身ともに消耗する移植を乗り越えて「これで助かった」と安堵している時期に再発を知らされる。「移植までしたのに」という思いが強い。2回目に移植が提案された時、移植そのものの不安・恐怖を訴えられることは少ない。移植で心身がどのくらいきつくなるか、体験ずみである。もちろん体験しているだけに「予測がつくだけにイヤ」「あのきつさをもう一度味わうと思うとうんざり」と言われるが、乗り越えてきた実績がある。深刻なのは「2回目をしてもまた再発するのでは」という不安である。2度目になると、移植という治療の予後を容易に期待しがたいのである。期待しがたいが「生きるためにはまた移植するしかない」という選択肢のない状況。移植治療時の心身のきつさは、患者さんの意思なしには乗り越えることは難しい。2度目の移植を受ける患者さんの表情からは、あきらめや不安を払拭して希望につなげるためになんとか自分の気持ちをコントロールしようとする必死な様子と同時に、疲弊感がうかがえる。
再発して明らかに心理的に傷ついた状況にある患者さんに、再度の移植が希望をつなぐ手段として受け入れられるために、神経科専門職はどのようなことを提供できるのだろうか。白血病で造血幹細胞移植を受けたが3年後に再発、グリベックでなんとかコントロールして2年目に、今度は新たな固形癌が発見されたという患者さんがいた。これまで何度もつらい状況を乗り越えてきた長い経過を知っているので、思わず患者さんと一緒にため息をついてしまった。その時、奥様が「病気が増えても一つ一つ治していけばいいじゃない、今度の癌も治しましょう」。救われる笑顔だった。患者さんはきっとこの笑顔に支えられてきたに違いない。ため息をついている場合ではなかった。再発して2度目の移植に取り組まねばならない患者さんが希望をつなげる術を考えなければ!
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