News Letter No.44 - Feb 2006 -
 
 Current Opinion 
乳がんサイコオンコロジー研究会の取り組み

国立病院機構 九州がんセンター
サイコオンコロジー科
大島 彰


 平成17年11月20日、福岡市において、乳がんサイコオンコロジー研究会を開催したので、その取り組みなどをご報告いたします。
 なぜ乳がんサイコオンコロジーなのか?と思われる方もおられると思います。
 ご承知のように、乳がんはサイコオンコロジー領域で最も多く取り上げられます。検診も含めた予防からリハビリテーションとその後の長期的な経過や治療法として手術、化学療法、放射線治療、ホルモン療法などがん治療のすべてが含まれます。また、パートナーや子供も含めた家族の問題、セクシャリティといった多彩な問題も包含することがあります。
 そこで、今回、九州において乳がん治療に携わるスタッフで、メンタルヘルス・ケアに関心のある方を対象とし、乳がん患者のメンタルヘルス・ケアに必要なアセスメントとケースマネジメントのスキルアップを目的として、研究会を立ち上げました。最終的には乳がん患者のQOL向上に貢献すること、およびデータアップすることを目的として、乳がん患者のメンタルサポートについての診断・治療法等に関する学術的交流(特別講演)とメンタルサポート領域における臨床的介入、薬物療法の応用に関する討議・データアップ(ワークショップ)といった構成で開催しました。
 九州・沖縄23施設から乳腺外科領域及び精神科・心療内科領域(サイコオンコロジー領域)の専門家、さらに看護師、薬剤師、臨床心理士などの多職種約60名の参加を得て、まず始めに、内富庸介先生の「がん患者の心の反応とその変調への対応:サイコオンコロジーの臨床実践」と題した特別講演が行われました。がんに対する心の反応とそのケア、がん患者のうつ病の診断とその治療戦略、悪い知らせを知らせるコミュニケーションスキル向上への対策、がん患者・家族総合支援体制などについてお話していただきました。
 特別講演の後に、10数名ずつの4グループに分かれ「告知前後の精神的反応と対応」「再発・転移に対する精神的反応と対応」「コミュニケーションスキル」といったテーマでグループ討議を行い、その後に全体討議を行いました。告知後から再発・転移という経過の中で、現場では、どのようなコミュニケーションを促進するか、メンタルサポートとしてどのような対応ができるのかといったことが話し合われました。基本的には、それぞれの立場で時間と場の設定を工夫しながら、限られた時間の中で7割ほどは患者の話を黙って聴き、認識度を確認しながらサポーターとして支えていくことを伝えることが重要で、それにより多職種のそれぞれの役割を果たすチーム医療も円滑に行えるのではないかということが確認されました。
 今後もこのような形で乳がんチーム医療として多職種が一堂に会し、乳がん患者・家族のメンタルヘルス・ケアを含めた全人的医療の遂行とQOL向上を目的とした活動を発展させていく予定です。これが他の癌腫に対してのメンタルヘルス・ケアへと発展していくことで、サイコオンコロジーの理解が深まることを期待します。