News Letter No.44 - Feb 2006 -
 
 Journal Club 
プライマリーにおけるうつ病のスクリーニングに「Help」を加えることによる効果

国立がんセンター東病院精神腫瘍科
清水 研


Arroll B, Goodyear-Smith F, Kerse N, Fishman T, Gunn J
Effect of the addition of a "help" question to two screening questions on specificity for diagnosis of depression in general practice: diagnostic validity study.
BMJ. 2005;331:884

【背景と目的】
 プライマリーケア領域において、うつ病はその有病率が5.5%〜65%と高い割合で存在する精神疾患であるが、General Practitioner(GP)によって見逃されてしまう傾向がある為、スクリーニングの施行が推奨されている。Prime-MDを改変して作られた、抑うつ気分と興味の喪失に関する計2問の質問紙法によるスクリーニングは、その高い性能(感度96%、特異度57%)が示されているが、更に良い性能を得る為に、3番目に「あなたはこの問題に関してHelpを必要としていますか?」という問いかけに1.Yes 2.Yes, but not today 3.Noの3つの回答を選んでもらうという質問を加えてみた。本研究はうつに関する診断面接(Composite International Diagnostic Interview)をゴールドスタンダードに、新しく作成したHelpを加えたスクリーニング法の妥当性を検討することである。
【対象と方法】
 6つの診療所、計19人のGPを訪れる患者を連続的に抽出し、説明と同意を得た上で、既存の2問のスクリーニングとhelpの質問を行い、その後CIDIを実施した。Help の質問に関しては、Yes とYes, but not today をカットオフ以上とした。また、3問の質問紙の評価としては、既存の2問のスクリーニングのどちらか、あるいは両方がYesで、かつHelp がカットオフ以上の場合に陽性と判定することとした。
【結果】
 1094人の患者にアプローチし、1025人の患者の同意を得、回答率は94%であった。今回の検討において、既存の2問のスクリーニングのみでは感度96%、特異度78%、陽性尤度比4.4、陰性尤度比0.05であったが、Helpを加えた場合は感度96%、特異度89%、陽性尤度比9.1、陰性尤度比は0.05であった。疑陽性/真陽性の比は既存の2問では4.3であったが、Helpを加えることにより1.5に改善された。
【結論】
 既存の2問のスクリーニング法に「Help」に関する質問を加えることにより、特異度が上昇し、いままで臨床現場で問題であった疑陽性が少なくなった。