| 急性骨髄性白血病が患者の健康関連QOLに及ぼす短期および長期的影響 |
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
心療・緩和医療学分野
中嶌陽子
Short- and long-term effects of acute myeloid leukemia on patient
health-related quality of life.
Alberto Redaelli, Jennifer M. Stephens, Suzanne Brandt, Marc F.
Botteman, Chris L. Pashos
CANCER TREATMENT REVIEWS, 2004,30, 103-117
【目的】がんおよびその治療法が、健康関連QOLに及ぼす影響を探る取り組みが注目されている。なかでも急性骨髄性白血病では、化学療法や骨髄移植といった積極的な治療が行われており、これらは患者の健康関連QOLに大きな影響を与えると考えられている。本研究では、急性骨髄性白血病とその治療が患者の健康関連QOLに及ぼす影響を評価することを目的としている。
【方法】1990年から2002年の間に国際的に発行された英語文献をMEDLINEを用いて、またそれ以前の文献に関しては手作業で検索し、収集した。MEDLINEで不十分な場合は、PDQ等、6つのデータベースも用いた。このように検索した文献を、健康関連QOLに関する重要な点(質問紙、評価された健康関連QOLの領域、患者の状態、治療の結果など)に関して概観した。
【結果】健康関連QOLに影響を及ぼした因子は、以下のようである。
@身体症状が少ないほど健康関連QOLは上昇。
AcGVHD(慢性移植片対宿主病)の発生により性機能が低下。小児がん患者では、健康関連QOLの低下。
B放射線の使用により、機能状態の低下。小児では成長の遅れ。
C小児では、骨髄移植を受けた年齢が成長に影響を与えるという報告もあり、男女ともに思春期の遅れが報告されている。
D高学歴の患者で社会適応力の低下、心理的苦痛の増加。低学歴(高卒以下)の患者で心理的苦痛の増加。
E診断から長く経過しているほど、健康関連QOLは上昇。初発の患者の健康関連QOLは特に低い。
F男性では心理的苦痛の上昇。女性では社会適応力の低下。
G男女共に性機能は長期生存者でも低下。特に骨髄移植を受けた女性でより低下。
【結論】この総説は、人口統計学的特徴、治療法、期間などの違う多様な患者群の研究をまとめたものであるが、大きく二つの所見が見出された。第一に、様々なQOL領域が疾患やその医学的ケアによって影響を受けていることである。特に疾患の性質や治療による副作用から予想されるように、健康関連QOLの身体的、心理的、感情的、性的側面は負の影響を受ける。第二に、治療前または治療期間中にQOLの顕著な低下を経験するということである。その一方で、長期生存者は健康状態や日常活動レベルはほぼ正常な状態まで回復するが、性機能は改善してないようである。化学療法や長期入院を意味する骨髄移植、不確実な治療結果、治療による併発症など、がんと診断されたことにより新しい情報を患者が経験しなければならないことから、とくに病初期の健康関連QOLの低下は対応が難しい。急性骨髄性白血病患者のケアにあたる臨床医は、短期の場合と同様に、長期間でも疾患やその治療が健康関連QOLに及ぼす影響を熟知しているべきであり、研究者は新しい治験段階の治療の健康関連QOLに及ぼす影響についても評価するべきである。
|