Memorial Slone Kettering Cancer Center (MSKC)
Department of Psychiatry and Behavioral Sciences |
国立がんセンター臨床開発センター
精神腫瘍学開発部外来研究員
吉川 栄省
Memorial Slone Kettering Cancer Center(MSKC)はニューヨークにある437床のresearch
Hospitalである。MSKCの精神医学的問題に関する取り組みはかなり早く、1950年に初めてArther Susanががんを患う人の心理的な問題に注目してPsychiatric
Unitを設立したのが、最初である。現在、Psychiatiric ServiceとBehavioral Serviceの二つからなり、Psychiatric
Serviceは更にPsychotherapy labo、Neurocognitive labo、及び、Observational
studies and Psychotropic trial lab で構成され、Behavioral ScienceはCommunication
Skill Training Labo、Cancer prevention labo そして、Community Outcome
and Minorities Res laboから構成される。それぞれのlabo はchiefのもと、2-4人のリサーチフェローから構成される。
私は学会やセミナーで、お世話になったDavid Kissane先生に見学希望の電子メールを送り、MSKCのobservationshipについて紹介された。Observationshipは、医師、看護師、研究者、心理士など、腫瘍学に関わる人々全てが対象であり、1日から最長で3ヶ月の期間まで、臨床及び研究に関しての見学が許可される。1週間当たり125ドルの費用がかかり、所属機関の長の推薦状が必要となる。それらの書類を、Psychiatric
Serviceの秘書さんに送ると、おのおのの希望に応じて、綿密な見学スケジュールが作成され、これに沿って見学を行うことになる。
朝9時、最初に、MSKCのGraduate Medical Education Officeに行き、125ドル(1週間までは同額)(カードOK)を支払い、手続きを済ませる。そこから、シャトルバスで10-15分程度はなれた一般のビルのone
floorにCounseling Centerはある。
カウンセリングセンターの待合室は、病院のそれとは全く異なり、ダークグリーンの落ち着いた雰囲気のカーペットの上に、大きなソファーとテーブルがひとつおいてある。そこで、しばし待っていると、Kissane先生がにこやかに現れ、中に通された。最初はHolland先生、Kissane先生それぞれ40-60分ほど、挨拶かねがね、自分の研究について話をした。その後、カウンセリングセンター内を案内された。コミュニケーションスキルトレーニング用の部屋が3つ、マジックミラーを備えた、集団精神療法用の部屋が2つ、更に外来診察用の部屋が5つとかなり部屋の数は多い。Disparity
Laboのmeetingに参加した。アメリカではminority の人たちには均等に医療が提供されていない。これらの問題をどのように改善するかを目的としたプログラムの作成が、このLaboの目的である。熱心に議論がなされていたが、熱心すぎて(早すぎて)私はついていけなかった。また、彼らは昼食というものを取らないらしい。気がつくと午後2時を過ぎていた。周囲にはカフェテリアも何もなく、スケジュールも詰まっているのであわてて、手持ちのスナックで空腹をごまかしつつ、Britebart先生との面接をした。気がつくと1時間が過ぎており、本院における入院紹介患者のラウンドに参加するべく、本院に向かった。
到着して待ち合わせ場所のナースステーションに行くが、肝心のKissane先生も都合で遅れるとのこと。研修医の先生とともにラウンドをはじめた。病院の中は、初めて訪れるものにとっては迷路であり、医局の荷物置き場まで10分以上もかかってしまった。研修医の先生はインド出身で今回の訪問の中で唯一ゆっくり話してくれる人で助かった。まもなくすると、Kissane先生から彼女のポケットベルに、到着のしらせのメッセージが入り、彼女の近くのコンピューターの端末から、Kissane先生に返信を送っていた。これらのシステムは面接などに入ることの多い精神科医にとっては非常に有用なシステムであると感じた。ラウンドは回診というよりは精神科指導医の初診患者の診察である。はじめにナースステーションで研修医によるプレゼンテーションがあり、指導医は其の都度、決められたフォームにその内容を書き留めておく。その後、ともに患者さんのところに赴き、20-30分の面接を行い、評価及び治療方針について、まとめる。診察が終わると、研修医が担当医に連絡して、治療方針そのほかについてrecommendしていく。また、退院が決まると其の都度、研修医と指導医により話し合いをしながら、所見を記載してサマリーをその場で作成する。私がいたときには4名の患者の診察を行った。気がつくと時間は3時間を過ぎていた。
翌日は朝の勉強会に参加した。研修医が持ち回りでそれぞれテーマを決めてレジメをつくり、発表していく。私の参加した時はせん妄がテーマだった。その後は精神療法の研究ラボに参加した。午後はリサーチフェローと集団精神療法について説明を受けた。その後、休憩を挟み、昨日と同様に入院患者のラウンドを行った。
以上あわただしい2日が終わった。MSKCは大きくて、非常に多くの人が働いている。とにかくみんな早口で忙しそうで、圧倒され、そして充実した2日であった。MSKCは大きくて、複雑で多様である。目的にもよるだろうが、7日くらいの日程で行ったほうがよいと考える。また、ある程度英語力があって、目的意識があれば3ヶ月間をフルに使って臨床に研究についてピンポイントで何らかの成果を得られるかもしれない。
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