News Letter No.43 - Nov 2005 -
 
 学会印象記 
第21回Association of Oncology Social Work 年次大会参加報告

静岡がんセンター緩和医療科
栗原幸江


 5月11〜14日にかけて米国テキサス州オースティンで開催されたAssociation of Oncology Social Work(AOSW)の年次大会に参加させていただきましたので、その報告をさせていただきます。今年のテーマは「Innovative Practice: Oncology Social Work at its Best」だったのですが、そのテーマにふさわしい創造的な臨床プログラムの発表が連日続き、刺激と元気をたくさんいただきました。参加者総勢350名の中で、カナダ、オーストラリア、イスラエル、南アフリカ、香港、日本からの参加者16名がささやかに「国際色」を彩っていました。
 「臨床実践に活かせるスキルや知見の共有」を大切にしている学会だけあって、14のワークショップ、34の口演、36のポスターセッションのいずれも、「明日から臨床に使える」アイデア満載でした。私が参加したのは、I Can Copeのファシリテーター・トレーニング、認知行動療法の応用、スピリチュアル・アセスメント、終末期・緩和ケア領域の臨床教育プログラム、終末期医療におけるコミュニケーション・スキル・トレーニングの各ワークショップと、代替補完療法(CAM)領域における患者支援や「書く・語る」を媒体とした自己表現サポートプログラムの実践報告などでしたが、他にも参加したかったセッションがいくつもあり、選択が一苦労でした。
 I Can Copeプログラムは、日本でも「がんを知って歩む会」として実践されていますが、その最新バージョンは、昨今の米国のサポートグループ事情(インターネットや電話媒体など「自宅で参加できるサポートグループ」の増加)を反映し、これまでの4回や8回完結といった構造を一新し、より柔軟性を持たせています。「がんについての知識」「コミュニケーション」「栄養」「リラクセーション」など、36テーマをそれぞれ独立させ、ファシリテーターが対象患者・家族のニーズに合わせて組み合わせ、独自のセッションを組み立てられます。たとえば院内で「化学療法の副作用対策」のセッションだけを使いたいと考えた場合に、それも可能です。セッション・マニュアルや参加者への資料などは準備されており、American Cancer Societyのウエブサイトから何時でもダウンロードできるようになっています。セッション内容や形式の柔軟性など、これから日本で開催されるサポートプログラムの参考になるのではないかと思います。スピリチュアル・アセスメントやギアチェンジ時のコミュニケーションなどについてもまた別の機会にお伝えできればと思います。参加者体験型セッションが主流で、笑い、泣き、感動し、頭にもこころにも栄養をいただきました。(余談ですが、日本型発表にすっかり馴染んでいた私は、「ああそうだった、聴衆参加型にしなければ!」と、自分の口演発表の形式を大慌てで修正しました…。)
 「患者・家族は悲嘆と希望の交差点に立っており、さまざまな困難を乗り切るためのさまざまなスキルや問題解決力の習得、リソースの活用、希望と指針を求めています。そこに我々の仕事があるのです」との先輩OSWの言葉に深くうなづき、“Psycho-Social Oncology”の領域で、患者・家族支援に携わる自分の役割の大切さと充足感を再確認できた学会経験でした。来年のテーマは「Quality of Life in the Cancer Experience」です。一緒にミネアポリスに行きましょう!
国際部会ミーティング参加者
国際部会ミーティング参加者