| 日本心理学会第69回大会で「サイコオンコロジー・」のワークショップを開催・企画して |
大阪大学大学院人間科学研究科
平井 啓
9月10日から12日の期間、東京三田の慶応大学で日本心理学会第69回大会が開催されました。昨年に引き続き、北里大学の岩満優美先生と共に、「サイコオンコロジー・−がん患者の心理的援助に向けて」というワークショップを企画しました。日本心理学会は、日本中から心理学の研究者が集う日本の心理学において最も主要な学会です。特に最近では基礎の心理学と臨床などの応用分野の心理学を融合するような取り組みが増えており、そうした流れの中で、心理学におけるサイコオンコロジー研究の知見を認知してもらうために、昨年度よりワークショップを企画しています。
昨年の「サイコオンコロジー・」では、主にがん患者と家族を対象とした観察研究を紹介することが目的でしたが、今年は一歩踏み込んで、介入や応用に繋がる実践的な研究について紹介するという目的のもとに開催しました。まず、簡単にワークショップの目的について岩満先生が紹介され、最初の話題提供者の国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部の藤森麻衣子先生が「がんの情報開示に際した望ましいコミュニケーションのあり方に関する研究」について発表されました。続いて、東海大学医学部の奥山徹先生より、「がん患者のMental
Health Literacyに関する研究」について発表いただく予定でしたが、あいにく当日、奥山先生の都合が悪く、共同研究者の一人である埼玉県精神医療センターの加藤雅志先生に代わって発表いただくことになりました。そして、筆者が、「肺がん患者の外来化学療法移行の意思決定に関する応用行動科学的研究」について話題提供し、最後に岩満先生が「乳がん患者の心理的特徴と心理的苦痛に関する研究」を発表されました。指定討論は、昨年に引き続き徳島大学大学院人間・自然環境研究科の佐藤健二先生にお願いし、「身に染みてわかる−医療行動に関わる患者の心理・行動の理解と制御−」というお題の下に全体をとても良くまとめて頂くと同時に的確なコメントをいただくことができました。今回のワークショップでは、がん患者の受療行動や態度の側面についてデータを収集し、その変容、制御について示唆を与える研究の発表が中心となりました。このような種類の研究は日本のサイコオンコロジーの分野、さらには世界のサイコオンコロジーの分野でもあまり行われていない種類の研究です。その意味でも、今回のワークショップでは最新の知見を紹介することができたのではないかと思います。
今回のワークショップは、会場となった教室がかなり広いものであったため、参加者の熱気が押し寄せるという感じではありませんでしたが、おそらく昨年と同じくらいの人数の方々にご参加頂けたのではないかと思っています。このことは若干ではありますが、心理学会におけるサイコオンコロジーの浸透を感じさせます。さて、ワークショップの開催の最大の目的は、少しでもサイコオンコロジーを志す心理学者を増やしていくことです。そのためには来年、再来年と継続的なワークショップの開催が必要になると思われます。息切れしないように毎回の開催を目指して努力していかなくてはと思う今日この頃です。
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