News Letter No.43 - Nov 2005 -
 
 Current Opinion 
「サイコオンコロジーにおけるナースの役割」

福島県立医科大学看学部
真壁玲子


 サイコオンコロジーとは、「がん患者の生命・生活の質を高める学問であり、臨床である。」1)がんは生活習慣病の一つとして捉えられ、その経過において心理社会的な問題への取り組みが課題となる。サイコオンコロジーで活躍する医療職にとって、がんの予防をはじめとし、がんの病態や治療、その経過を理解し、がんと診断された患者やその家族、さらに医療職の精神的側面に関心を持ちながら精神的・心理的影響への全人的な対応をするという重要な役割がある。このようなことは、この“JPOS News Letter”の読者とって何ら新しい情報ではなく、読む必要もない。では、医療職の中でもナースにはどのような役割があるのだろうか。サイコオンコロジーにおける他の医療職と異なるナースの役割について述べたいと思う。
 他の医療職と異なるナースの役割には、日常生活援助がある。この援助を通し、がん患者と家族に関する情報収集を行い、その情報を基にどのような関わりが必要なのか、提供すべきケアの内容や方法、タイミングの最適な選択ができる。具体的には、がん患者や家族への日常生活援助の場面で、彼らの何気ない声や話題、回想などから、最適なタイミンと方法で、彼らの思いを聴き、彼らに添い、彼らとともに存在し、その人らしいありようになるケア提供ができる。このようなナースのアプローチは、がん患者が家族を含めた重要他者とともに自己決定し、彼らのがん経過がより良い経過になりうるということから重要と考える。
 サイコオンコロジーにおけるナースの役割を資格という点から、スペシャリストナースの役割についての説明も可能である。例えば、サイコオンコロジーと関連する資格としては、がん専門看護師と認定看護師(がん性疼痛看護、ホスピスケア、がん化学療法看護、創傷・オストミー失禁(WOC)看護、乳がん看護等)がある。がん専門看護師には・実践、・相談、・調整、・倫理調整、・教育、・研究という6つの役割2)、認定看護師には・実践、・指導、・相談という3つの役割がある3)。具体的な役割や活動状況については、日本看護協会のホームページ2)3)の閲覧や、または、実際に資格を有し活躍しているスペシャリストナースにお任せしたいと思う。
 最後に、繰り返しになるが、サイコオンコロジーとは、「がん患者の生命・生活の質を高める学問であり、臨床である。」1)他医療職と同様に、ナースはナースの視点か研究を行い、その研究成果を臨床において実践活用するという役割がある。実践から研究へ、研究から理論へ、理論から研究そして実践へという「研究・実践・理論の環状的性質4)」を踏まえて、他・多医療職と協働するという役割がある。サイコオンコロジーにおける役割について、他のナースや他の医療職との交流ができればと思いつつ、このCurrent Opinionを終えたいと思う。

文献:
1)河野博臣、神代尚芳.(1995).サイコオンコロジー入門:がん患者のQOLを高めるために、日本評論社.
2)http://www.nrse.or.jp/nintei/cns/index.html
3)http://www.nurse.or.jp/nintei/ces/index.html
4)南裕子・野島佐由美、近藤房恵(訳)(1998). 看護理論集:より高度な看護実践のために(増補改訂版)、日本看護協会出版会.