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国立がんセンター中央病院緩和ケア科
下山直人
1.広義の緩和ケアとチームの役割
WHOの提言では、緩和ケアはがん末期のケアだけでなくがんという診断がついた時点で開始されるべき、と詠っている。日本の緩和ケア病棟は病床数が限られていることもあり、現実的に末期の患者のみを診ざるを得ない状況である。しかし、そこで亡くなる患者は全体のわずか3%であり、90%以上の患者は一般病棟で亡くなっている。従って緩和ケアの向上には一般病棟での緩和ケアチームの向上は重要であると考えられる。2002年に緩和ケアチーム加算が導入され、全国での緩和ケアチームの結成に拍車がかかっている。しかし、それにあたっての多くの問題も存在し、サイコオンコロジー学会としてもそれに取り組む必要がある。ただ気をつけなければならないことは、加算を取ることが目的ではなく、がん患者に対する全人的な苦痛の緩和をチームで行うことが目的であることを忘れてはならない。
2.チームに何が求められているか
チーム加算をとるために、にわかチームも多数出現してる。緩和ケア医の資質、精神科医の適正、看護師の役割などをはじめとした難しい問題が山積している。チーム加算を取ったあとに、チームで何をやっていいのかわからないという質問も多い。そのような場合にはチームの原点を教えている。チームの存在意義は患者さんのニーズである、といっても過言ではない。患者さんの全人的な苦痛の緩和において、多職種からなるチームがそれぞれの役割を果たすことからはじまり、多くの苦痛に専門家が対応していればその結果、チームが出来てくると思っている。我々のチームにはその結果、緩和ケア医(7)、精神腫の精神科医(2)、看護師(2)、薬剤師(2)、ソーシャルワーカー(5)、IVRの専門医(1)、心理療法士(2)、その他がいる。もともと当院では薬剤師、精神腫瘍医がコンサルテーションの土壌をもっており、私も緩和ケア医としてのコンサルテーションの基盤を持っていることが現状のチーム運営において追い風となっている。
緩和チームの加算をとるにあたって、チームのコアメンバーは緩和ケア医、精神科医、専門看護師と指定されている。精神科医は加算の条件に入っているが、一般病院で精神科医をそろえることは困難な点があることは否できない。それはがんの患者の精神症状を専門に取り扱う精神腫瘍学専門の精神科医が全国に数百人前後しかいないという事実にも象徴される。精神科がいない病棟においては、せん妄、上眠、上安、抑うつなどの精神症状に対してもすべて緩和ケア医が対応せざるを得ない。しかし、チームに精神腫瘍学専門の精神科医がいる場合には、精神症状の診断が明確であり、適切な治療が行われることにより、症状緩和が早期にはかれる可能性が高くなるという利点がある。特に緩和ケアチームがみる患者さんはがんの治療中である場合も多く、予後も緩和ケア病棟よりもく見込まれる患者さんが多いため、その意味でチームにおいては緩和ケア病棟以上に精神科医の重要性は高いといえる。
病棟から独立した看護師をそろえることもやさしいことではない。一般病棟ではこれまでは緩和ケア医と病棟看護師とで連携して行ってきた。チームに所属する看護師は緩和ケアを専門に教育指導、実践することが可能となるため必要であると考える。専門看護師育成は看護師側ではすでに始まっており、チーム専属の看護師が増えていくための基盤は着実にそろっている。加算のためにチームを行っているとは考えない方がよいと思っている、実際に一般病院の中で何人かの医療者を取られているので、それに対する対価は当然考えるべきである。サイコオンコロジー学会としてやるべきことは、緩和ケアチームに興味を持つ精神科医を増やすこと、チームでの精神科医の役割、やりがいをもっとアピールしていくことではないかと思っている。
緩和ケアチーム加算の問題点として、専従医は外来診療が出来ないこともあげられる。チームで診ていく患者の多くは末期ではなく、入院、退院を繰り返す場合が多いため、退院し通院している間も同じメンバー(主症状を担当しているチーム員)で継続的にアしていく必要がある。従って、一部の地域でチーム専従医の外来診療ができないということは現状にはそぐわないように思われる。緩和ケアは末期だけでないこと、外来診療は緩和ケア医にとっても精神科医にとっても必要であることを訴えていかねばならない。
「まとめ」
緩和ケア加算は、支持療法、緩和ケアの推進のために行われたと言っても過言ではないが、それを実効性
のあるものにするためには現状に照らし合わせ、学会単位で意味のある変更を行っていくべきと思う。
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