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北里大学大学院医療系研究科・医療心理学
岩満優美
サイコオンコロジー(精神腫瘍学)では、がん患者やがん家族の心の問題を心理学的、社会学的、そして行動科学的視点に立ってとらえ、最終的にはがん患者やがん家族の心理的援助を行うことを目標としています。そのため、心理学がサイコオンコロジーにおいて果たす役割は大きいと考えられますが、日本においては臨床・研究ともに、まだ十分に心理学の力が発揮されていないのが現状ですそこで臨床心理士である私から、心理学、そして心理学とサイコオンコロジーとの関係について考えてみました。
医療の現場では、臨床心理士ががん患者やがん家族の心のケアに向けて、悪戦苦闘の日々を送っています。しかし残念ながら、私も含め、臨床心理士がもっている医学的知識、サイコオンコロジーの知識は上十分で、患者さんを目の前に、とまどうこともしばしばです。そして、このサイコオンコロジーそのものがすでに確立されているわけではなく、日々発展していっていますし、このサイコオンコロジーの発展に向けて、臨床への還元を目的とし臨床心理学的研究への取り組みが求められています。
臨床に身をおくと、臨床心理学以外の心理学に触れる機会が少なくなり、「原理・方法、人格、社会・文化、臨床・障害、犯罪・非行、生理、感覚・知覚、認知、記憶、言語・思考、情動・動機づけ、発達、教育、産業・交通、スポーツ・健康」といった領域から構成される心理学から遠ざかってしまいがちです。しかし、人間を援助し治療することを目的とした臨床心理学、健康心理学、そして医療心理学は、本来、発達、社会、教育、動物(比較)、産業、人格、犯罪など、他の心理学の影響を受けていまし、医学、教育学、看護学、公衆衛生学、行動科学、栄養学など心理学以外の影響も受けています。当然ながら、臨床心理士は、臨床心理学はもちろんのこと、さらに医学的知識だけでなく臨床心理学以外の心理学の知識の習得が日々望まれます。一方、サイコオンコロジーにおいて心理学的研究が一人歩きしないよう、臨床心
理学的視点に立った研究を行うことはいうまでもありません。
このようなことから、これからは臨床心理士と心理学研究者とが、お互いの専門性をいかしてサイコオンコロジーに携わること、さらに、臨床心理士や心理学研究者は、医師看護師、ソーシャルワーカーなど他の職種の専門家とも交流を積極的にもち、お互いに尊重しあって、心理学の専門家としてサイコオンコロジーに携わることが要求されることでしょう。先日、「第8回大学病院心理臨床家の集い」が京都で開催されましたが、そこでは、一人職場となりやすい臨床心理士は、孤独に陥りやすいことが話題としてあがりました。しかし、臨床心理士自身がこの孤独を自ら生み出している場合もあります。自分の殻に自ら閉じこもることなく、心理学の専門家として今できること、そして求められていることをひとつずつ取り組むなかで心理学がサイコオンコロジーに果たす役割が明らかになるのかもしれません。
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