News Letter No.43 - Nov 2005 -
 
 厚生労働省のがん患者のQOL向上に関する研究動向について 

国立がんセンター 東病院臨床開発センター
 精神腫瘍学開発部
内富庸介


 がん患者のQOL向上に関する厚生労働省研究班は1980年代より続けられてきたが、1994年、第2次がん克服戦略事業にQOL研究分野が取り上げられて以降、複数の班研究が並行して行われるようになってきた。私の知る範囲で最近のものを列挙する。
 
1.がん研究助成金「がん治療による口腔内合併症の実態調査及びその予防法の確立に関する研究」(班長:大田洋二郎)…化学療法による口腔症状対策
2.がん研究助成金「がん患者における緩和医療(支持療法)の普及と評価に関する研究」…呼吸困難対策など(班長:斎藤龍生)
3.がん研究助成金「がん患者に対する支持療法および緩和療法の技術の向上に関する研究」(班長:下山直人)…手術、抗がん剤による難治性疼痛
4.がん研究助成金「がん患者の抑うつ、不安、せん妄などの発現要因の解析及びその対応に関する研究」(班長:山脇成人)…うつ、不安対策など
5.厚生労働科学特別研究事業「がん疼痛治療に置けるオピオイド鎮痛薬の適正使用に関する研究」(班長:平賀一陽)…在宅、疼痛対策
6.第3次対がん総合戦略研究事業「QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発研究」(班長:内富庸介)…神経障害性疼痛、コミュニケーション、望ましい死、スピリチュアルペイン、心理介入、リハビリテーションなど
7.医療技術評価総合研究事業「我が国における尊厳死に関する研究」(班長:松島英介)…尊厳ある死ならびに尊厳ある生について総合的に検討
 以上のように、最近10年間は複数の研究班が組織され少しずつがんのQOL研究の裾野が拡がってきた。しかし、がん患者のQOL研究の成果が十分に国民に還元されるほど充分な成果が上がったとは決して言えない。各研究班が連携をとり柔軟かつ体系的な研究体制を構築する必要がある。すなわち、各研究班で行われている研究内容を再確認し、・評価法、・新規治療開発、・ガイドライン作成など成果目標を取りまとめる必要がある。
 そこで、去る2004年9月16-18日の3日間、国立がんセンター東病院(柏)において上記研究班の合同班会議が開催された。100名を越える参加者が集まり各分野の体系的理解を図り、その上でpeer-reviewを行いつつ研究を推し進めることとなった。討議の結果、研究班を下記のような4つの分野に再分類し、各分野に取りまとめ役をおき連携して研究を推進することとなった。
Supportive Care:下山直人
・口腔合併症
・呼吸困難
・疼痛
Palliative and End of Life Care:森田達也
・終末期の実態調査、望ましい緩和ケア
・在宅緩和ケア
Rehabilitation:岡村仁
・がんリハビリテーション
Psycho-Oncology:明智龍男
・抑うつ、精神症状緩和ガイドライン
・不安
・ せん妄
・ コミュニケーション
以上、厚生労働省のがん患者のQOL向上に関する最近の研究動向について、簡略にまとめた。各研究分野に興味のある会員の方にはぜひ声をかけていただきたい。ともに学び、ともに研究をすすめましょう。