| 第18回日本サイコオンコロジー学会・第10回日本緩和医療学会合同大会報告 |
国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部
秋月伸哉
6月30日から7月2日にかけてパシフィコ横浜で開催された第18回日本サイコオンコロジー学会・第10回日本緩和医療学会合同大会に参加させていただきました。小雨が降り続き、蒸し暑い梅雨の気候の中、3000人を超す参観者が集まり、大変な盛況でした。今回は合同大会だったこともあり、プログラムも朝8時から、遅い日は夜9時半まで盛りだくさんで、かなりくたびれてしまいました。しかし、今回は海外から高名な先生方がspeakerとして招聘されており、学会参加の楽しみの一つとなっていました。
私が参加したいくつかのセッションのうち、興味深かったものについてご紹介させていただきます。初日の発表の中で私が最も興味を引かれたのは、Dr.
Baileによるコミュニケーションスキルをいかに医療者に教育するか、に関するものでした。Dr. Baileはoncology fellowを対象に、5日間にわたり講義とロールプレイによる実践を組み合わせたコミュニケーションスキル訓練合宿を実施しており、その効果を様々なアウトカムで評価しています。私達のグループでもコミュニケーション訓練を、少しずつ修正しながら毎年実施していますが、どのように実施するかの参考になりました。また、内富先生からの国内のがん患者のコミュニケーションの意向調査から、海外で開発されたコミュニケーションガイドラインと国内の患者の意向が必ずしも一致しないことが示されたこととあわせ、日本におけるコミュニケーションスキル訓練の開発の必要性が感じられました。
2日目は、今後の緩和医療におけるエビデンス作りとして、標準化されたアウトカム評価を用いたアウトカム観察研究の重要性を示された瀬戸山先生によるEBMレクチャー、最新の知見を交えながら系統的な疼痛コントロールの重要性を示されたDr.
Foleyのセミナーが印象的でした。3日目は、終末期をめぐる課題と題して、患者への情報提供、終末期の輸液と栄養補給、精神的苦悩に対する鎮静に関する問題の議論が行われました。いずれも医療現場で頻繁に直面している問題であるものの、指針がなく専門家間でも意見が分かれる微妙な問題であり、日々の臨床行為の意味をもう一度振り返るきっかけとなるディスカッションでした。また、そのような問題に積極的に取り組み、実証的な研究結果を示されたDr.
Brueraの発表はすばらしく、緩和医療の領域でも実証的な研究ができることについて元気づけられました。今回私が印象を受けたいずれの発表からも、緩和医療・サイコオンコロジーいずれの領域についても、これまで医療者が良いと思って開発・実施してきた医療行為について、本当に患者アウトカムが良くなっているのかを確認していくべき時期にあるのだということが痛感されました。
来年のサイコオンコロジー学会は、京都で開催される予定です。これから1年の臨床、研究結果を京都でお互いにfeed backできることを楽しみにしております。
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