News Letter No.42 - Aug 2005 -
 
 学会印象記
日本サイコオンコロジー学会総会「ナイトプログラム」に参加して

目白大学
伊藤朋子


 少人数で「がん患者の心」について語らう、というプログラムの趣旨に惹かれ、サイコオンコロジストの卵(未満)、患者自身、乳がんセルフヘルプグループの運営スタッフという、なんとも中途半端な立場で参加させていただきました。(どちらかというと、一患者としてがん患者の心理に関わる方々の本音を聞いてみたいという興味が、私の中では大きかったように思いますが…。ちなみに、他にも患者が何人か参加しています。)
 ナイトプログラムではグループに分かれていたので、自分の参加させていただいたグループのことしかわかりませんが、まず感じたことは「外科・腫瘍内科等のドクターが少ない」ということ。緩和医療関係の方はドクターもいらっしゃいましたが、サイコオンコロジー関係の方は、精神科医、看護職、コメディカル、心理職などの人が多く、がん自体の治療をしているドクターは少ない。これは、以前の東京での開催時にも感じたことですが、一患者としては、とても残念なことです。
 ストレートに患者の心の問題、QOLの問題はもちろん、告知の方法や、患者とのコミュニケーションがテーマの研究も多いので、もう少しサイコオンコロジーに興味を持ってくれるドクターが増えて、重要性を認識してくれると、この領域に詳しい医療従事者がもっと増えて、連携を取れるようになり、QOLを大切にした患者中心の医療に近づくことが出来るのではないかと感じました。(というより、外科医に聞かせたい、というのが本音?!)
 内容は多岐に渡りましたが、今回は日本緩和医療学会との合同大会ということで、終末期に関しての話題を興味深くお聞きしました。一番感じたのは、死の受容が出来ることが終末期医療の成功、という感覚への違和感です。同様の指摘は、他の参加者からも出ていましたが、多くの患者仲間との話していると、通常の病院であろうと、終末期専門の病院や病棟であろうとも、自らが選択し(選択を医師に任せるという選択も含め)、納得した医療やケアを受け、納得のいく生き方が出来ることのほうが、個人的には基準としてよりしっくりくるように思います。受容も、最後までジタバタするのも、本人の人生ですから…。
 また、様々なテーマが話される中、通して思ったのは、みなさん本当に患者のことを一生懸命に考えて、悩んで、現場で格闘している…のですが、その輪の中に「患者がいない」ということ。一緒に考えられたら、協力し合えたら、今よりもっと良い方向に動かせることもあると思うのです。うつ状態やせん妄などの精神症状だけではなく、心の問題もホリスティックな視点で、がん患者の○○さんをサポートするのではなく、○○さんが“がんと共に”よりその人らしく生きるサポートとしてのサイコオンコロジーが発展してくれることを心から願っていますし、自分自身もその思いを新たにできたプログラムでした。