News Letter No.42 - Aug 2005 -
 
 学会印象記
第10回緩和医療学会・第18回サイコオンコロジー学会合同大会に参加して

早稲田大学大学院 人間科学研究科
五十嵐友里


 平成17年6月30日〜7月2日にパシフィコ横浜で開催されました緩和医療学会・サイコオンコロジー学会合同大会に7月1・2日の2日間参加させていただきました。私にとっては初めての参加となりましたが、特に印象に残ったプログラムについて簡単に感想を述べさせていただきます。
 1日に行われたナイトプログラムでは、名古屋市立大学の明智龍男先生と聖路加国際病院の川名典子先生をリーダーとする班に参加させていただきました。参加者は医師、看護師、薬剤師、心理士、学生など、先生方の属性は様々でした。特に議題が用意されている訳ではありませんでしたが、参加者の先生方から多くの意見が上がり活発な議論が交わされました。
 具体的な内容としては、緩和ケア病棟についての話題が持ち上がり、緩和ケア病棟への移行がなかなか上手くいかない患者様について様々な意見が出されました。その分岐点は自らの今後についての受容ができているかどうかであろうという見解に対し、常に医療者の立場で考えないことが大切だとのご意見がありました。医療者からの目線で考えることにより、「受容できること」が成功で、「受容できないこと」が失敗だと考えがちなのではないだろうかとのご指摘でした。「自分ががんになったら?」という問いを自らに投げかけ、受容できなくてもいいという姿勢を持つことも必要なのではないかとのご示唆でした。まさに今回の合同大会のテーマとして掲げられた「患者家族と歩む」ということだと実感致しました。しかしながら、緩和ケア病棟への移行は患者様にとって大変大きなイベントであることから、今後もこの移行に関してより患者様へのサポートとなる移行や介入の方法を模索していくことが望まれると痛感しました。
 また、2日にはサイコオンコロジーにおける心理療法にかかわるポスター発表が行われました。様々な視点からの研究が発表されましたが、それぞれの発表には多職種の中で心理療法士として関わる際の留意点や心理療法を身体症状の重い患者様にどのように適応していくかなどの工夫点に溢れており、大変勉強になりました。サイコオンコロジーの分野で心理療法士としての役割を果たすには、従来のカウンセリング場面と同じように行っていくのでは難しい部分が多々あるように感じます。今後も心理療法がこの分野で尽力していけるよう研究が行われ、少しでも患者様の心理的苦痛を軽減していけるように発展していくことを期待します。
 最後に、今回の合同大会を通して、多職種が一堂に会してそれぞれの考えを交わすということがとても有意義だということを実感しました。相互作用の中から、お互いの考え方やアプローチの仕方を理解し、補い合っていくための示唆が得られるのではないかと感じました。まだまだ現場を知らない一学生としても、現場の先生方のご経験を踏まえた意見を聞かせていただける貴重な経験となり、大変有意義な2日間でした。機会を下さった多くの先生方に感謝申し上げます。