| 『第10回日本緩和医療学会・第18回日本サイコオンコロジー学会総会合同大会に参加して』 |
岡山大学医学部保健学科
高山智子
緩和医療学会との合同大会ということ、また会場の立地条件もよかったこともあったのだろう、とにかく印象としては“ものすごい数”の参加者があった学会であった。学会中さまざまなセッションに参加した中で考えたことについて書きたいと思う。私自身がこれまでコミュニケーションに関する研究を進めてくる中で、学会で取り上げられていた「Bad
Newsをどう伝えるか」の一連のテーマは、また改めてコミュニケーションの重要さとインパクトの大きさを痛感するものであった。あるセッションのフロアからのコメントで、辛い治療にもなんとか耐えてがんばっていた父親が、ある日「もう治療がない」と主治医に伝えられたその日の晩にせん妄状態になり、わずか10日あまりで亡くなったという話があった。どんな言葉をつかって、どんな風に伝えるかは、人によって違う。そして、その伝え方によっては、相手を助けることにもなるが、凶器にもなる。患者本人にとってだけでなく、今現在にまで続く家族にとってのショックやその後の虚しさは計り知れないものだろう。一方で、伝える側にいる医療者も、伝え方がわからない、伝えた後の反応が恐い、“相手を尊重して”伝えると言葉ではわかっているけれど、どうしたらよいかわからない。コミュニケーションの理論だけでも技術だけでもだめ、両方が大切なんだというBail先生の話につながるものだろう。話している相手と自分、その当事者と当事者の周りを取り巻く家族や医療関係者、そして、これからへの希望へとコミュニケーションを通して『繋いでいく』ことがコミュニケーションをとる中で、できそうでできないことなのかもしれない。そしてその背景には、現代社会の家族機能の弱体化や専門分化が進んだ医療のこれまであまり省みられていなかった専門家同士のコミュニケーションの問題があることも忘れてはいけないのだろう。そんなことを改めて感じる学会であった。
常に席取り合戦のような様相で、落ち着いて聞きたいセッションに参加できなかったのが唯一残念な点ではあったが、現場で日々努力されている医療者や患者・家族からの声を聞くことができ、とても有意義な時間を過ごすことができた学会であった。学会の主催者に感謝したい。
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