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京都ノートルダム女子大学
心理学部心理学科
中村千珠、河瀬雅紀、
天野可奈子、才木和子
Parent-Child Relationships and Quality of Life: Resilience Among
Childhood Cancer Survivors. Terri L. Orbuch, et al. Family Relations,
April 2005: 54(2): 171-183
小児腫瘍患者が、疾患やその治療の影響に適応する過程で、両親との関係は重要であると言う議論は多々なされてきた。しかし、この常識を支持する実証的研究は非常に少なく、さらに、父親と母親、各々の影響を調べたものは、あまり見られない。そこで、Orbuchらは、父親または母親との関係が小児腫瘍患者のQOLに及ぼす影響を探るために以下の調査を行った。対象は、小児腫瘍長期生存者190名である。基本属性として、調査時の年齢(21.8±3.3歳)、診断時の年齢(8.5±5.1歳)、罹患年数(11.4±5.7歳)、性別(57%:女性、43%:男性)、後遺症の有無、同居の有無(51.4%:一人暮らし)、配偶者の有無(64.6%:単身者)を問うた。
親子関係の評価はThornton(1995)らの質問紙を、QOLの評価はParry(2002)らのQOL-Cancer Survivorsの修正版を用いた。後者の質問紙は、身体的、心理的、社会的、スピリチュアル、医療に関連した恐怖、の5つの側面から構成され、満足度合いを測定するものである。性差について検討した結果、男性は女性より、身体的な満足度が高く(t〔173〕=-2.19,p=.05)、再発や検査などの医療への恐怖が低かった(t〔173〕=-4.32,p=.01)。一方、女性は男性よりもスピリチュアルな満足が高かった(t〔173〕=3.51,p=.01)。次に、父親または母親との関係が小児腫瘍患者のQOLに及ぼす影響を探った結果、父親との良い関係は、QOL全体および心理的、スピリチュアル、社会的満足度と正に有意相関し、母との良い関係は心理的満足度と正の有意相関を示していた。さらに、因果関係を明確化するために階層的重回帰分析を行った結果、基本属性の影響を統制すると、父との良い関係が、QOL全体へ正の影響を及ぼすという傾向を示した(ΔR2=.04,p=.10)。一方、母との関係とQOL全体との関連は見出せなかった。そこで、QOLの各々の側面について関連を探った結果、父との良い関係が、心理的(ΔR2=.08,p=.001)、スピリチュアルの側面(ΔR2=.05,p=.01)に正の有意な影響を及ぼし、母との良い関係は、心理的側面(ΔR2=.05,p=.10)に正の影響を及ぼしていた。以上より、患者を含めた家族への介入は、小児腫瘍生存者のQOLに重要な影響を及ぼすことが理解できる。また、父との関係とQOLとの間で関連が見られたことから、治療者は、ステレオタイプな考えで、養育者としての母親に頼るのではなく、父親が患者の適応に深く関わっていくようにする努力も必要である。
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