News Letter No.42 - Aug 2005 -
 
 第18回日本サイコオンコロジー学会総会
心理に関する一般演題について

北里大学大学院医療系研究科・医療心理学
岩満優美


 ポスターセッションで、“心理1”の司会を担当したので、ここにその内容を報告する。演題は6題あり、症例検討が2題、調査研究が4題であった。
 まず、症例検討では、九州がんセンター・サイコオンコロジー科の白石氏らが、子宮全摘に伴う様々な喪失体験から生じる心理的苦痛について心理士としての関わりから考察し、患者と医療者との信頼関係形成までの非言語的コミュニケーションの重要性などについて報告した。つぎに、春日井市民病院の大脇氏(代理:坂井氏)は、精神科領域では親しみのある芸術療法のひとつであるコラージュ療法を終末期がん患者に導入し、この領域におけるコラージュ療法の可能性について考察した。
 調査研究では、京都府立医科大学精神神経科の吉田氏らは、女性乳がん患者の乳房喪失体験に伴う“ボディイメージの変化”と“気分状態・がんへの対処”について調べ、ボディイメージに対する評価が高いほど、絶望感や抑うつ状態は低く、一般的健康度が高くなることを報告した。琉球大学保健学科の照屋氏らは、乳がん患者の心身の健康状態に影響を与える要因について検討し、「心の健康度」には“子どもの有無・趣味の有無・セルフケア能力”が、「心の疲労度」には、“子どもの有無・趣味の有無・術式・ボディイメージ”が関連していることを報告した。京都ノートルダム女子大学の中村氏らはスピリチュアルな側面を含めたがん患者の心理的援助の“現状認識とニーズ”および“心理状態”の関係について検討し、本来心理的援助が必要である不安や抑うつの強い患者ほど、自ら援助を求めないことを報告した。慶應義塾大学看護医療学部の朴氏らは、乳がんカウンセリング状況についてまとめ、・2回以上カウンセリングを受けたのは57名中10名であること、・「治療など身体的問題」については医学的知識を中心とした教育的介入を、「精神的問題」については心理教育的・支持的・認知療法的介入を、「その他人間関係を含む問題」については問題解決技法と助言を行っていることを報告した。
 これら6題の演題はいずれも、心理士として心理的援助方法を考えていくうえで参考となる研究内容であった。今後も心理的援助に向けて、臨床心理学的視点からの研究が活発に行われ、それが心理臨床の実践へとつながっていくことを期待したい。