News Letter No.42 - Aug 2005 -
 
 ご 挨 拶
これから2年の目標: 代表世話人就任の挨拶にかえて

国立がんセンタ−研究所支所
精神腫瘍学研究部
内富庸介


 山脇成人前代表世話人から後任を打診され、横浜合同大会時にお手伝いさせていただくことになり、誠に光栄に存じます。故河野博臣先生による創設期の10年間、武田文和先生、阿部薫先生、山脇先生による学術的基盤作りの8年の後を受けて身が引き締まる思いですが、代表世話人の任期2年間では焦点を絞って一生懸命活動したいと思いますので、何卒、宜しくお願い申し上げます。
 これからの2年間で何ができるか?「学問と教育」の時期と位置づけたいと考えております。サイコオンコロジーの科学的発展と学問の体系化は継続目標ではありますが、今、特に日本オリジナルの研究が期待されています。国際サイコオンコロジー学会の機関紙を見ても、創刊号92年から99年までの間に4報であったのが、2000−2005年では14報と日本発信の投稿が増えました。若い会員が日本での臨床現場での経験を元に示唆に富んだ報告をしています(QOL、グループ療法など介入、コミュニケーション、実存的苦悩、抑うつ、脳科学など)。この調子が続くと、Psycho-Oncology雑誌そのものが我々の機関紙になることも実現可能な夢となります。これからも学術集会やニュースレターの発表の場を通して学術論文の投稿は奨励していかなければなりません。また、日本発の海外投稿論文は、和訳されニュースレターにカレントオピニオンとして紹介され、臨床に役立つ知見を提供しています。国際誌への投稿は骨折りですが、きちんとした査読(peer review)システムが利用できますし、またアジアへの貢献にも重要です。
 教育という新たな目標は、2002年から緩和ケアチームが診療形態として公に認められたこととも関係しています。現在、全国で34チームを数え、サイコオンコロジストの活躍は期待されています。しかし、サイコオンコロジーの科学的発展、若い研究者の研究報告とは裏腹に、その知識はまだ十分現場で活かされているとは言えません。あらゆる時期のがん患者家族に最適の心理社会的ケアが提供できるよう、訓練の場、講習会は必須です。激務のため勉強時間が割けない精神科医や心療内科医にとっても、そして活動の場を広げたいと考えている心理士やリエゾン精神看護師にとっても教育訓練が必要になってきたからです。第一回講習会を来年3月4日(土)東京駅近郊で、第二回を6月8日(金)−9日(土)の京都での学会翌日の6月10日(土)に、臨床実践に役立つサイコオンコロジー1日講習会を計画しております。対象は、精神科医、心療内科医に加えて、資格化が準備されている臨床心理士、そしてリエゾン精神看護師を想定し、サイコオンコロジーの臨床実践の普及を考えております。また、現場からの要請の強い、オンコロジストを対象にしたコミュニケーション技能訓練(CST)を来年2月25日(土)と26日(日)の二日間の予定で準備しております。さらにそのファシリテーター講習会(2時間×10回程度)を来年にはスタートさせたいと考えております(ご興味のある方は、yuchitom@east.ncc.go.jpまでご連絡ください)。さらに、オンラインカリキュラム(IPOSと欧州サイコオンコロジー学会が共同で作成したレクチャーシリーズhttp://www.ipos-society.org/professionals/meetings-ed/core-curriculum/core-curriculum-pres.htm)の提供がはじまりました。これらのプログラムはいずれも人材育成を目指しており、サイコオンコロジーの均てん化へつながる第一歩となると考えています。今後、がんを専門とする学会やがん患者団体との連携を促進し、学問と教育の目標に向かって行きたいと考えております。
 最後になりますが、インフォームドコンセントを前提としたがん医療が加速度的に導入されつつあるわが国は、一方では、何でもインターネットから情報が手に入る未曾有の情報化社会に突入しています。遺伝子検査から終末期まで多くの意思決定に取り組まなければなりません。患者、家族、そして医療者の心へのインパクトは強いはずです。会員の皆さま、これからの2年間、一生懸命、汗を流して活動したいと思いますので、別掲の各種委員を公募いたしますのでぜひご参加いただき、何卒、御協力の程お願い申し上げます。