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国立がんセンター研究所支所
精神腫瘍学研究部
藤森麻衣子
7月20日から24日にかけて、神戸国際会議場において開催された第4回世界行動療法認知療法会議に参加させていただきましたので、本会議の紹介と私が興味深く感じた内容について簡単に述べさせていただきます。
世界行動療法認知療法会議は3年おきに開催されており、医療、心理、看護、教育、福祉、矯正・更正などの多くの領域の臨床家、研究者、学生が行動療法、認知療法、認知行動療法、行動分析についてディスカッションすることを積極的に推進しています。本会議では、日本がリーダーシップを取り、アジアの諸外国のメンバーとともに、アジア組織委員会が開催する形をとり、最高水準の行動療法や認知療法に関連する研究プログラムの開発の促進を目指して「グローバルスタンダードを目指して」というスローガンが掲げられました。
認知療法はいくつかの要素から構成されています。これまでは認知療法の効果の検討に関する研究が主流でしたが、本会議では、認知療法の構成要素のうちどの要素が何にどのような効果をもたらすのかといった研究に関するシンポジウムがいくつかあり、Behavioral
activation(行動の活性化:直接行動に働きかけて活性化を促す)の重要性が注目されていました。Dobson氏の発表ではBehavioral
activation(行動の活性化:直接行動に働きかけて活性化を促す)がうつ病の再発予防として役立つ可能性を指摘していました。近年、脚光を浴びてきた認知療法ですが、行動的要素がもっとも影響しているという知見は大変興味深く、今後のデータの蓄積が期待されます。認知療法は軽症から中等症の大うつ病に対する効果が行動療法を除く他の心理療法よりも大きいことがエビデンスとして示されてきました。今後の研究の方向性として、一次予防としての認知療法の有効性、Self
therapyの有効性、少数の対象者を想定した認知療法の有効性を検討することが挙げられていました。また、認知療法の普及については、文化差の検討、指導者の資格化、公共政策の推進を強調されていました。
本会議は初のアジアでの開催ということもあり、文化差に関しても注目されていました。Riverman氏はベーシックなプロトコールをそのまま用いるのではなく、それぞれの文化に応じた形で修正しながら適用することが望ましく、変化なしに進歩はあり得ないと述べていました。個人レベルでもCase
formulationでプロトコールを分解し、個人に合わせて組み立て直すという考え方が適用されており、Parson氏、Nezu氏は個々のケースを定式化し、エビデンスのある理論を適用し、エビデンスのある治療を行なうことの重要性を指摘していました。
近年、気分障害、特に大うつ病に対する治療としては薬物療法と認知療法の組み合わせというのがすでにコンセンサスとなっており、不安障害においても、薬物療法と行動療法あるいは認知療法のどちらか、または3つの組み合わせがコンセンサスとなっています。がん患者の精神科診断として、大うつ病、適応障害が多いことが報告されていますので、サイコオンコロジー領域においても、今後、大うつ病、不安障害に対して薬物療法だけでなく認知療法、行動療法の応用が期待されます。
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