News Letter No.39 - Nov 2004 -
 
 学会印象記
第17回サイコオンコロジー学会に参加して

北海道がんセンター 精神科神経科
臨床心理士
塗師 恵子



 2004年5月13(木)・14日(金)に第17回日本サイコオンコロジー学会が九州大学医学研究院心身医学、久保千春教授のもとに福岡市で開催されました。それに参加しての感想をご報告したいと思います。今後の日本における『サイコオンコロジーの動向:教育、臨床そして研究』と題された内富先生のランチョンセミナーの講演とシンポジウム『サイコオンコロジーと交流分析』が学会の中で特に印象に残りました。
内富先生の講演から日々の臨床実践でいろいろ漠然と感じているものを裏付ける理論的な説明が得られました。そして、『がん患者は特定のコーピングを身につけようとプレッシャーを感じる必要はない。暗い人が無理に前向きにならなくて良い。』と言う内容に共感しました。また、『気持ちと辛さの支障の寒暖計』はHADS検査よりも、質問がたった2項目と簡単ですぐに臨床で実施できると思いました。
 『サイコオンコロジーと交流分析』のシンポジウムでは吉内先生はTEGを造血幹細胞移植において実践的に使用した研究のお話をされ、がん患者と医療者との関係を治療初期から、円滑にしていく上で、TEG使用は有効との印象 をうけました。また、白井先生の交流分析の基本的概念説明から、患者と医療者がお互いに、どうコミュニケーションしているかを『交流パターン分析』概念で分析すると患者への精神的サポートがさらに、充実すると思いました。交流分析は、実践するには 研修を受け、学ばなければならない、奥の深い精神療法だと思います。しかし、がん治療の患者への精神的サポートの方法として 新しい展望をこのシンポジウムは与えてくれました。また、日本交流分析学会にも参加させていただき、ありがとうございました。今回のサイコオンコロジー学会も内容が多岐にわたり、臨床実践する上でヒントを得ました。