News Letter No.39 - Nov 2004 -
 
 学会印象記
日本心理学会第68回大会で「サイコオンコロジー」のワークショップを企画・開催して

北里大学大学院医療系研究科
医療人間科学・医療心理学
岩満優美



 9月とは思えないほどの残暑厳しい中、関西大学において日本心理学会第68回大会(9月12日から14日)が開催されました。この学会は、心理学の進歩普及を図ることを目的として1927年に創立された、全国規模の心理学の総合学会では最も歴史のある学会で、学会員は、基礎領域から応用領域まで広い専門領域にわたっています。国際交流としては、1951年の第13回国際心理学会(スウェーデン)の際にInternational Union of Psychological Scienceに加盟が認められ、これまでに、第20回国際心理学会や第22回国際応用心理学会が日本で開催されています。(日本心理学会ホームページより)。今年は、「原理・方法、人格、社会・文化、臨床・障害、犯罪・非行、生理、感覚・知覚、認知、記憶、言語・思考、情動・動機づけ、発達、教育、産業・交通、スポーツ・健康」といったテーマ別に一般研究発表(1260件以上)が行われ、ワークショップも100件、海外の心理学者による特別招待講演5件、公開シンポジウム2件という大規模な学会となり、全国から心理学者が集まりました。
 そこで、このサイコオンコロジーという領域が心理学においてもっと認知されるように、そして、この領域に関心をもっている方たちのネットワーク作りを目的に、大阪大学大学院人間科学研究科の平井啓先生と共に、「サイコオンコロジー(1)−がん患者およびその家族の心理的適応について」のワークショップを企画しました。話題提供者は、企画者である平井先生と筆者、そして広島大学病院医系総合診療科の佐伯俊成先生でした。平井先生は「サイコオンコロジーの紹介」「がん医療と医学において心理学の果たす役割」について提言した上で、「終末期がん患者のセルフエフィカシーに関する研究」を、佐伯先生は「がんが家族におよぼす影響−がん家族への適切な心理的な介入」を発表され、筆者は「乳がん患者の告知と治療に伴う心理的苦痛について−否定的感情の抑制と表出」を発表しました。指定討論者は徳島大学大学院人間・自然環境研究科の佐藤健二先生に、臨床社会心理学的観点からお願いし、臨床研究のあり方などを含めた、率直なご意見をいただきました。サイコオンコロジー研究の方向性や、臨床研究の目的の明確化、臨床への還元、臨床研究を行う上での苦労など、客観的で実証的な研究方法を用いて、科学の追求を目指す日本心理学会だからこそ、あえて取りあげたいと思うことが話題となり、意味のある会であったと思っています。
 予定していた参加人数をはるかに越え、予想していたよりも心理学におけるサイコオンコロジーへの関心の高さを実感しました。今回は「サイコオンコロジー(1)」ですから、来年も「サイコオンコロジー(2)」として企画・開催する予定です。関心をお持ちの方は、どうぞ、この日本心理学会にご参加ください。