| Danish Cancer Society Counselling Centreの見学 |
国立がんセンター研究所支所
精神腫瘍学研究部
藤森麻衣子
8月26日から28日にかけて、デンマークのコペンハーゲンにおいて開催された第7回International Psycho-Oncology
Societyに参加させていただき、8月30日にDanish Cancer Societyの Counselling Centreを見学させていただくことができましたので、御紹介させていただきます。
デンマークは538万人ほどの人口で14の県から成り立っており、あらゆる面でうまく組織立てられています。カウンセリング・センターも同様で各県に一つずつ設置されて20年程になるそうです。病院とは別の組織になっていて、別の場所にあり、クライアントは通院とは別の日にカウンセリングやグループ・ワークに参加するためにカウンセリング・センターに訪れるそうです。「治療の後では疲れているでしょ」と私たちを案内してくれた臨床心理士のEthelbergさんはおっしゃっていました。リハビリテーションに関する取り組みにも積極的で、がんの治療を行なった患者さんは全員治療後6ヶ月の時点でリハビリテーション・センターに集まり1週間のワークショップに参加するのだそうです。
私たちが見学させていただいたコペンハーゲンのカウンセリング・センターは、中央駅から3つめ(10分ほど)の駅から歩いて5分ほどの閑静な通りに面した2階建ての建物でした。裏にはDanish
Cancer Society、Cancer Epidemiology Instituteがありました。セキュリティがしっかりした入り口を抜けると受付があり、左手には5人ほどでいっぱいになりそうな待合室がありました。基本的に予約性ということで待合室は小さくて良いのだそうです。受付に向かって左手に進むと左側に10人ほどのグループ・ワークができる部屋がひとつあり、芸術を愛するマーガレット王女の描いた絵が飾ってありました。受付に向って右手に進み、右手には同様のグループ・ワークをするための部屋があり、左手には階段があり、2階に進みます。2階には個別のカウンセリングを行なう部屋を兼ねた各カウンセラー専用の部屋とボランティアや研修生用の部屋と会議室がありました。Ethelbergさんの部屋は北欧の建物らしく、大きな窓があり、そのおかげでとても明るい印象でした。壁の2面は本棚になっていて、もう一方の壁には、ボランティアとしてグリーンランドに行った際にクライアントからもらったという素敵な海の絵が掛けられていました。その下には長いソファが置いてありました。クライアントが体調の悪い時には横になってカウンセリングができるようにということでした。テーブルを挟んで向かい側には一人がけのソファが3つほど置いてありました。他には机があり、上にはパソコンと書類の山がありました。
このカウンセリング・センターには臨床心理士が3名、ソーシャル・ワーカーが2名、受付1名、その他、ボランティアや研修のための学生が出入りしているそうです。年間900人の新規クライアントが来談し、常勤3名と非常勤2名のカウンセラーが1人当たり1日平均3、4人の再来を含むクライアントに対応しているそうです。気分障害や不安障害が主な問題で、個人カウンセリングでは個々のクライアントに合わせて認知行動療法などが行なわれるそうです。グループ療法では扱われる問題によって内容も異なるそうですが、心理教育やディスカッション、ピア・サポートが行なわれているそうで、参加者が固定されるグループや流動的なグループなどさまざまなものがあるそうです。また、特筆すべきこととして、デンマークでは1990年代から医師は卒後にもコミュニケーション・スキル・トレーニングのワークショップに参加することが義務付けられているそうです。毎年、数百名の参加者があるそうです。ファシリテーターは医師が行い、ファシリテーター養成のためのワークショップがEthelbergさんらによって行なわれているそうです。
今回の訪問でデンマークにおけるサイコオンコロジーの臨床実践の場の一端を垣間見ることができたことは、私にとって非常に有意義な体験でした。今後日本のサイコオンコロジーをどのように実践していくべきかということについて、学ぶべきヒントがたくさんあり、また、深く再考するよい機会となりました。私たちを快く案内してくださいましたEthelbergさんに深く感謝いたします。
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