News Letter No.38 - Aug 2004 -
 
  第17回日本サイコオンコロジー学会総会
特別講演「日本文化における「死」のタブー」を終えて

九州大学大学院医学研究院 心身医学
久保千春


 北山先生は精神分析の立場から、日本文化の中で共有されている死に関する禁止あるいはタブーについて話された。具体的には「イザナキ・イザナミ神話」や「鶴の恩返し」、「乙姫の禁止」などの昔話を取り上げられ、今日にも死の忌みや不浄視として日本人に共有されていることをわかりやすく解説された。臨床現場では、患者は、死を恐れ、それを祓おうとし、同時に死を暴く気持ちが強く、その両面を統合的に把握するは難しいものである。死の臨床に携わっている人たちは、これらの相反する気持ちを汲みながら患者の苦痛を共有することが重要である。こうした場でとられる方法として、段階的幻滅や時間をかけたもの仕事、「はかなさ」の体得である述べられた。本講演は、会員に深く考えさせる大変有意義なものであった。