| ワークショップ「がん患者をかかえた家族・遺族のケア(グリーフワーク)」を終えて |
国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部
内富庸介
4人の演者を迎え、関西医科大学心療内科中井吉英先生と筆者で司会を担当した。久保千春会長、プログラム委員の方々が選出された演者は、わが国における当該分野の現時点での第一人者であり、かつ臨床実践家でもあり、プログラムを拝見した時点から期待が大きかった。
第一演者の佐伯俊成氏(広島大学)は、内外のレビューを行い極めて研究報告が少ないことをまず指摘し、家族は心の痛手を受けた人として扱われず、患者の介護者としての立場を強いる現況を問題であるとした。さらに彼ら自らのデータを示し、家族は患者と同等もしくはそれ以上のストレスをかかえていることから、家族は心の痛手を患者と等しく受けているにもかかわらず、患者の支援者、家庭生活の維持などに追われる生活者としての困難さを推測させた。
次に、池永昌之氏(淀川キリスト病院)は、全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会A会員の施設を対象に行った遺族ケアの実態調査を報告した。遺族へのカード送付、追悼会、語らいの会、自助グループなど複数の方法で、遺族とのコミュニケーションを図っているというものだった。そこで、問題点として、1.遺族ケア体制の経済的基盤、2.研究、3.教育体制、4.リスク者の評価、5.臨床心理士・精神科医など専門家との連携を指摘した。
第三の演者、二ノ坂保喜氏(にのさかクリニック)はご当地博多で在宅ケアを展開してきた経験から、1.徹底して家族の立場で考えかつ表現すること、2.悲嘆が思い出に昇華するプロセスを在宅ケアでは実践しやすいこと、3.死への準備教育の重要性を指摘し、実践してきた「子どもといのちを見つめるワークショップ」について紹介した。
最後に登壇した小池眞規子氏(目白大学)は、緩和ケア病棟で親を看取る小児の事例紹介を行い、具体的援助の示唆を与えた。すなわち、5歳を過ぎれば死による別れの永続性、不可逆性は理解され、10歳を過ぎれば、ほぼ成人と同様の理解が可能だということ、従って子どもであっても家族の一員として悲嘆のプロセスを体験しともに立ち直る喪の仕事の重要性を指摘した。
毎年、がんで亡くなる方は30万人、その数だけ家族の悲嘆のプロセスがある。そして、同じ数だけグリーフケアが必要であろう。今後も継続して取り扱う重要な分野であることを最後に指摘し、まとめとさせていただく。
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