GPに対するうつ病マネージメントプログラムの患者に対する効果は、
ケアのプロセスの改善によって得られたものなのか? |
国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部
秋月伸哉
Are effects of depression management training for General Practitioners
of patients mediated by improvements in the process of care?
van Os, et al. Journal of Affective Disorders 80(2004)173-179
【背景】これまでの報告から、一般医(General Practitioner: GP)はプライマリケアにおいてうつ病を診断することができないか、または診断しても適切な期間、適切な量の抗うつ薬を使用しないことが知られている。著者らはGPのためのうつ病特異的のマネージメントガイドラインとコミュニケーション技術を含む精神疾患に対する一般的な訓練を合わせた実地訓練プログラムを作成し、GPの抗うつ薬処方率、適切な使用の増加、コミュニケーションの改善効果を報告した。患者アウトカムとしても、特に介入前12ヶ月以内に発症のうつ病について、GPへの介入前後で介入3ヵ月後のうつ病症状の改善効果を認めている。本研究の目標は、GPへのうつ病マネージメント教育介入が、GPの外来を受診した患者のうつ病の改善を促進するか、もしするならどのスキルの改善が最も役に立ったかを明らかにすることである。
【方法】介入の前後比較研究。介入前後にランダムに選ばれた日に連続的にGP外来受診した患者をリクルート。17人のGPが協力した。同意した患者はGHQ12に記入し、高リスク群は2週間以内に診断面接(CIDI)が行われた。1年以内発症のうつ病と診断された患者には3ヶ月後のフォローアップも依頼した。ケアのプロセスとして、診断、抗うつ薬処方、コミュニケーション技術が評価された。Physician
Encounter Formに、何らかの精神疾患があるか(認識)、診断、治療(用量、期間)を記載し、コミュニケーション技術は、患者が共感とコーピングサポートについて9問のLikert
Scaleで評価した。患者アウトカムは、症状、機能障害、活動が障害された日数のベースラインから3ヵ月後の変化を、質問票で評価、標準化し、合計して算出した。
【結果】174例の患者(GPへの教育介入前に85例、後に89例)が研究に参加した。介入前後で、GPが患者の精神疾患の認識する率、正しくうつ病を診断する率に差を認めなかったが、うつ病の患者への抗うつ薬処方率(20%→34%)、適切な用量・期間の抗うつ薬処方(8%→26%)、コミュニケーション技術(27%→71%)、コミュニケーション技術と適切な抗うつ治療(3%→24%)は介入後の改善を認めた。患者のうつ病は改善したが、この変化にGPの精神疾患の認識、正確な診断の影響は少なかった。抗うつ薬処方、コミュニケーション技術はうつ病の改善に影響するものの軽度であった。適切な用量・期間の抗うつ薬処方と、コミュニケーション技術と適切な用量・期間の抗うつ薬処方をあわせた効果のうつ病の改善に対する影響が最も大きかった。
【考察】GPへの訓練の結果、コミュニケーション技術と適切な用量・期間の抗うつ薬処方が組み合わさって改善したときに、患者アウトカムの改善が最も大きく認められることが明らかになった。アウトカム評価が限られていること、改善していないプロセスについては影響が明らかでないことが本研究の限界である。また、本研究によりうつ病のための特異的な介入に加えてコミュニケーション技術の重要性と、介入により改善したとはいえ、うつ病の適切な治療率がいまだに低く、更なる工夫が必要なことが明らかになった。
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