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独立行政法人国立病院機構
九州がんセンター サイコオンコロジー科
大島 彰
当セッションでは、4題の演題発表が行われた。
まず、「キーパーソンがいない悪性リンパ腫患者の終末期における鎮静に対する考察」(国立病院九州がんセンター 山田 祐、他)では、血液腫瘍の特異性と終末期において鎮静を行う際の難しさ、特に、キーパーソンがいない場合についての発表であった。せん妄など認知機能障害のある患者に対して鎮静を行う際の対応に苦慮しているとのフロアーからの報告が出され、事前に説明を行ったり、第3者の意見を求めたりするなどの意見がみられた。鎮静に対する一応の要件や指針はあるが、臨床現場ではまだ鎮静という医療行為に対して倫理的な面などで対応に苦慮することが日常的に見られ、患者にとって有益で医療者の精神的負担を軽減できる方向性へ今後も議論を重ねていく必要がある。
次に、『医療者向け「がん患者の性相談」研修プログラム報告』についてプログラム開発・実施・参加者による評価(東京大学大学院医学系研究科 高橋 都、他)と受講者の研修前後の知識・態度・自己効力感の変化(東京大学大学院医学系研究科 渡邊知映、他)、2題の発表があった。講義やロールプレイを用いた研修内容で、研修成果を挙げているとのことであった。性の問題はがん患者にとっても日常的なものであり、生活の満足度に影響することだが、医療者とともにお互い言い出しにくい話題のため、表面に出てこない問題である。それに対して医療者がきちんと対応できることの重要性について言及し、がん患者の性相談のスキルアップのため開発した研修プログラムについて報告がなされた。医療者にとってがん患者の性に対する理解が深まり、患者と性について率直に話し合うことができ、患者の満足度を高められる有益な研究と思われる。性の話題からがんに対する誤解の修正やパートナー、家族との関係などが見直されるといったことも期待されるため、今後研究をさらに発展させて、より有効なプログラムの構築を期待したい。
4題目の「脊椎転移により対麻痺となった癌患者のリハビリテーションの経験−医療者のストレスの変化について−」(帝京大学医学部附属病院 丸野紀子)では、患者に関わった医療者に一般健康調査と燃えつきの評価尺度を用いて調査した報告であった。下半身麻痺が生じそれが回復困難という状況は、患者にとっては心身ともに耐え難い状態を生ずることは容易に推察されるが、それは家族や医療者に対してもストレスがかかってくる。医療者にとって回復困難という悪い知らせを伝えることもストレスとなり、どのタイミングでどのように伝えるかなど現場では悩むところなので、医療者のストレスという視点はよかったが、調査対象がこの患者のみに関わっているわけではないため、調査のデザイン及び評価方法を再度検討して今後の研究につなげてもらいたい。対麻痺という病態や病勢の進行に対して医療者のストレスがかかるというよりは、その病態を受けとめる患者の心理状態やその反応の表出に対する影響が大きいと考える。
患者、家族だけでなくがん医療に携わる医療者のストレスマネジメントも重要であり、今後こういった方面への研究がさらに増えて、医療者のQOLを高められることを期待したい。
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